1. 八千代中央薬局様について
薬局の概要や特徴
八千代市薬剤師会が設立した特定非営利活動法人(NPO法人 やちやく)が運営する地域密着型の調剤薬局です。年中無休(8時〜24時)の営業体制を敷き、地域の小児救急医療体制への対応など、薬剤師の立場から地域医療へ貢献することを目的としています。 八千代医療センターの前に立地しており、災害時の医薬品備蓄やモバイルファーマシーの運用、大会議室を備えた研修施設、無菌調剤室など、通常の調剤薬局にはない充実した設備と機能を有しているのが大きな特徴です。常勤・非常勤問わず多くの薬剤師が在籍しております。
地域での役割と日々の運営で大切にされていること
高齢化や医薬品供給の不安定化といった医療課題に直面する中、さまざまな医療関係者と連携しながら、近隣の方々が気軽に相談できる「かかりつけ薬局」としての役割を担っています。薬を通じて地域の皆様の健康と快適な生活に寄与し、「安心と信頼」を皆様と一緒に築き上げていくことを大切に、日々の運営を行っています。
2. AI薬歴・フルセルフレジなどの導入背景
新しい仕組みを取り入れたきっかけと課題
- AI薬歴の導入
薬剤師の業務において、処方監査や服薬指導と同じくらい「薬歴の入力」に多くの時間を取られていることが積年の課題でした。投薬時の忙しいタイミングで後回しになりがちな薬歴入力の負担を減らし、備忘録やメモ代わりにもなるサポートツールとしてAI薬歴の導入を決定しました。
- フルセルフレジの導入
新型コロナウイルスの影響もあり、感染症対策として金銭の直接的なやり取りを極力減らしたいという思いがありました。また以前は、事務スタッフがレジを打つために、薬剤師が患者様の処方箋や金銭を毎回往復して運んでおり、仮に1回30秒のロスでも1日200人の患者様が来局すれば「約100分のロス」に繋がっていたため、この非効率な動線を解消したいという課題もありました。
導入時に重視されたポイント
- 業務の無人化・自動化
人がいなくても済む部分は極力システム化し、現場の負担を軽減すること。
- 衛生面と正確性
お金に直接触れない非接触の会計プロセスを実現すること。
- 安定した動作環境(AI薬歴)
AI薬歴用のマイクは、Wi-Fiの電波干渉を防ぎ確実な音声入力を担保するため、あえて安定性の高い「有線接続」を採用しています。
3. 導入後の変化・効果
業務の流れや現場の負担の変化
- 薬歴作成時間の半減
AI薬歴の音声認識を利用することで、会話内容から関係のない雑談などが自動で省かれ、自動的にSOAP形式に分類されるようになりました。約9割の精度でテキスト化されるため、書き損じや聞き漏らしが激減し、体感として薬歴の作成時間が従来の「半分程度」にまで短縮されています。
- レジ業務の効率化と締め作業の短縮
フルセルフレジの導入により、薬剤師がレジまで往復する手間が完全になくなりました。また、事務スタッフにとってもレジ打ちのミスがなくなり、毎日の「レジ締め」にかかる時間が大幅に削減されるなど、薬局全体のオペレーションが大きく改善されました。
- 患者様対応とスタッフの反応
当初はご高齢の患者様がセルフレジを使えるかという懸念もありましたが、スーパーやコンビニなどで操作に慣れている方が多く、バーコードを読み込ませるだけの簡単な仕様のため、非常にスムーズに受け入れられています。スタッフ側からも時間や手間の削減効果について好評を得ています。
4. 東京オータスのサポートについて
印象に残っているサポートの内容と相談しやすさ
東京オータスさんのサポートチームは、コールセンターを含めて非常にフレンドリーで親しみやすい対応をしてくれます。日常の対応はリモートサポートにてスピーディに対応し情況に応じて訪問対応もしてくれます。「お久しぶりです」と気さくに声をかけてもらえるような距離感の近さや安心感があります。
5. 今後の展望
今後さらに活用していきたいこと
蓄積されたデータを、より直感的に経営分析に活かせる機能の追加に期待しています。現状は日計表のデータを自分でExcelに落とし込んで集計していますが、患者様の年齢層・性別・来局エリアの分布や、基本料の加算取得状況などをグラフ化し、視覚的に分かりやすく把握できるクラウド型BIツール「BunseQI」も今後検討したいと思います。また、将来的な人材不足に備えて、在宅向けの処方データなどを外部の代行入力サービス(VPA)へ委託する仕組みなど、さらなる業務の自動化・効率化にも関心を持っています。
6. 弊社へのご要望と社会へのメッセージ
最近はクラウド型のシステムも増えていますが、災害時や通信障害時(大きなイベントによるネット回線のパンク時など)にはローカルサーバーの安定性が非常に重要だと痛感しています。実際に能登半島地震でモバイルファーマシーを派遣した際も、災害時のシステム稼働の重要性を再認識しました。今後は、一部でAIやクラウドの便利さを活用しつつも、ローカル環境の確実性もしっかりと残すようなハイブリッドなシステム環境の構築を期待しています。
NPO法人として、これからも「地域に貢献し続ける」という基本理念を胸に、地域の皆様にとってなくてはならない薬局として存続し、医療福祉の発展に寄与していきたいと考えています。
- 企業名:八千代中央薬局(NPO法人 やちやく)
- 所在地:千葉県八千代市
- お話を伺った方:理事長:秋吉 恵蔵 様、センター長:安部 基之 様