電気主任技術者の不足には、採用・育成だけでなく、経験者が働き続けられる体制づくりと、点検・報告業務の効率化を組み合わせて対応することが大切です。まずは「後任がいない」のか、「今いる技術者の業務量が多い」のかを分けて考えましょう。
この記事では、工場・ビルなどの設置者と電気保安業務の受託者に向けて、5つの対策の選び方、制度上の注意点、東京オータスのスマケンを活用した報告業務の改善方法を解説します。
点検後の転記・報告の負担を、減らしませんか?
東京オータスの「SmaKen」は、電気保安点検の帳票電子化を支援します。
人材確保とあわせて報告業務を見直したい方は、まず機能をご覧ください。
電気主任技術者不足には、どの対策から取り組むべきか
対策によって、解決できる課題と準備の負担が異なります。自社の状況に合わせて優先順位を決めてください。
- 後任がいない:採用・育成と、外部委託の可否を早めに検討する。
- 経験者への負担が集中している:勤務条件や代替体制を見直し、定着・再雇用を支える。
- 転記や報告書作成に時間がかかる:帳票電子化で二重入力や写真整理を減らす。
- 設備状態の把握や現地訪問に負担がある:設備条件を確認し、遠隔監視・スマート保安を検討する。
設置者は選任体制の継続を、電気保安法人・電気管理技術者などの受託側は、移動・報告・緊急対応を含めた総業務量の把握を優先します。後任が決まっていない場合、帳票システムの導入だけで保安体制を確保することはできません。
電気主任技術者が不足する背景と今後の見通し
経済産業省は、保安人材の高齢化や再生可能エネルギー設備の増加に伴う需要拡大を課題として挙げています。免状を持つ人がいても、保安業務への従事状況、地域、設備の規模、必要な経験によって、人材確保の難しさは異なります。
2023年3月公表の資料では、新たな対策を講じない場合、2030年度に第2種電気主任技術者が約1,000人、第3種の外部委託分野が約800人不足する可能性を示しています。これは当時の前提に基づく推計で、現在の不足人数を示す数値ではありません。
自社の対策では、全国の見通しに加え、担当者の退職予定、地域の採用状況、委託先の受入余力を確認しましょう。
企業が取り組みたい電気主任技術者不足の対策5選
1. 即戦力採用と若手育成を並行する
採用条件は免状の種類だけでなく、対象設備の経験、勤務条件、緊急時の対応まで整理します。即戦力だけでは候補者が限られるため、資格取得支援と実地教育を組み合わせた育成も検討しましょう。
育成には、受験費用の補助だけでなく、学習時間、点検への同行、事故対応の訓練、教育担当者の時間が必要です。後任を確保してから引き継ぐまでの期間を見込み、採用費・人件費・教育の負担を計画に含めます。
電験三種は上期・下期の年2回実施され、CBT方式も導入されています。受験支援を行う場合は、電気技術者試験センターの試験情報で対象年度の案内を確認してください。
なお、自社で主任技術者を選任する場合と、外部委託の受託者になる場合では要件が異なります。外部委託の受託に必要な実務経験等を、社内選任にも一律に当てはめないようにしましょう。
2. 定着・再雇用を支える勤務体制を整える
給与や資格手当とともに、夜間・休日の呼び出し、移動距離、報告のための残業、休暇中の代替体制を確認します。負担が一人に集中していれば、採用を増やしても同じ課題が残ります。
ベテランの再雇用では、本人の意向や健康面を踏まえ、勤務条件と担当・緊急対応の範囲を合意します。嘱託社員等から選任できる場合もありますが、勤務実態や保安監督に専念できる体制などの条件確認が必要です。
引き継ぎでは、点検手順に加え、設備固有の注意点、過去の不具合と処置、異常時の連絡先を記録します。若手が内容を説明し、ベテランが確認する機会を設けると、理解の抜けを見つけやすくなります。
3. 自社での選任が難しければ外部委託を検討する
保安管理業務の外部委託は、自社で専門人材を確保する負担を軽減する選択肢です。ただし、設備・受託者等の要件を満たし、所轄の産業保安監督部等の承認を受ける必要があります。契約だけで選任が不要になるわけではありません。
比較する際は、委託料に加え、緊急時・担当者不在時の対応、報告方法、契約外の修繕費、移行手続きを確認します。委託後も設置者による報告確認や修繕の判断・手配、設備変更の連絡は必要です。
管理会社等の人材を主任技術者として選任する「外部選任」と「外部委託」は別制度です。詳しくは、保安管理の外部委託による効率化と委託先選びをご覧ください。
4. 帳票電子化で転記・写真整理・報告の負担を減らす
現場で紙に記録し、帰社後にExcelへ転記する運用では、同じ情報を二度入力しています。写真と点検票の照合、報告書作成、送付まで手作業が続く場合は、現場で入力した情報を報告まで活かす仕組みを検討しましょう。
一部の帳票から試せる一方で、システム料金や端末に加え、帳票設定・教育・保管方法の調整が必要です。入力時間だけでなく、管理者の確認や差し戻しまで含めて、負担が減るかを確かめます。
5. 設備条件に合う遠隔監視・スマート保安を活用する
スマート保安は、センサーや通信技術、データ活用などで保安業務を支える取り組みです。設備の状態を遠隔で把握し、異常の兆候の確認や現地対応の判断に役立てます。
2025年度からは、設備更新計画に沿った更新や絶縁・負荷の監視などの要件を満たす需要設備について、外部委託での現地点検頻度を3か月に1回へ延伸できる制度の見直しが行われています。監視装置を入れるだけで、すべての設備の点検を減らせるわけではありません。
導入時は、適用要件と保安規程を確認し、機器・工事・通信・保守の費用、異常時に対応する体制まで検討します。帳票電子化は記録・報告の改善、遠隔監視は設備状態の把握を支えるもので、目的に応じた使い分けが必要です。
東京オータスのスマケンで、点検後の報告業務を見直す
東京オータスの帳票電子化サービス「SmaKen(スマケン)」は、電気保安点検の手書き帳票を電子化するシステムです。既存の帳票レイアウトを活かし、タブレットでの記録や手書きメモ、写真添付、現場からのメール送信、PDF・Excel形式での出力に対応しています。
記録から報告・保管までをつなげる運用例
紙の持ち帰りと帰社後の転記がある現場では、次のような流れを検討できます。
- 現場で点検結果を入力し、必要なメモを残す。
- タブレットで撮影した写真をその場で添付し、設備との対応を確認する。
- 入力内容を確認し、顧客・社内で決めた手順に沿って報告する。
- 出力した帳票を保管し、不具合は担当者と期限を決めて対応する。
これは公開機能をもとにした運用例です。管理者の承認が必要な場合は確認を挟み、顧客の提出形式や社内の情報管理ルールに合わせます。スマケンは帳票作成・報告を支援するもので、主任技術者の選任や保安上の判断を代替するものではありません。
今の点検票で、どこまで電子化できる?
使い慣れた帳票レイアウトや写真添付、報告の流れをどう活かすか。
現在の点検票と運用をもとに、SmaKenの活用方法をご相談ください。
業務効率化を始める前に確認したい3つのこと
1. 削減したい作業と時間を把握する
点検・移動・転記・写真整理・確認・送付にかかる時間を分けて記録します。例えば、転記等が1件15分、月100件分減れば月25時間の削減です。これは仮の計算例で、スマケンの実績値ではありません。教育や初期設定の負担も含めて評価しましょう。
2. 一部の帳票で試し、現場と管理者の両方で評価する
利用頻度の高い帳票を選び、通信状況、入力のしやすさ、承認・提出方法を確認します。見積もり前には、帳票の種類・月間件数・利用人数・提出形式を整理してください。
試行後は、作業時間とともに、記入漏れ・差し戻し・報告までの日数を比較します。改善点を反映してから展開し、空いた時間を点検品質の向上や若手への指導にどう使うかまで決めましょう。
3. 記録の保存と引き継ぎのルールを決める
保存先、ファイル名、閲覧権限、バックアップ、担当変更時の引き継ぎを決めます。保存期間は、自社の保安規程や契約、対象記録の制度に沿って確認します。詳しくは、点検記録の保存期間と保安規程の確認方法を参考にしてください。
まとめ:人材確保と、技術者が働き続けられる業務設計を進める
電気主任技術者不足への対策は、後任の確保と既存人材の負担軽減を並行することが重要です。採用・育成や定着支援、外部委託で保安体制を整え、帳票電子化や遠隔監視を課題に合わせて組み合わせましょう。
まずは、後任の見通しと、記録から報告までにかかる時間を確認してください。制度の適用は、経済産業省の告示・内規等と主任技術者制度に関するQ&Aを参照し、具体的な設備への適用は所轄の産業保安監督部等に確認してください。
技術者の時間を、点検と育成に使える現場へ。
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